やんばる — 沖縄ウイスキーを育む、守られた森
山原(やんばる)。沖縄北部の亜熱帯の森が、SAKHRANIのウイスキーをどのように形づくるのか。
気候。希少な樹々。山の水。そして、時間。
沖縄ウイスキーを口にする人の多くは、「やんばる」という言葉を聞いたことがないかもしれません。
那覇から北へ車を走らせる。
リゾートの海岸線を過ぎ、最後の高速道路出口を越えると、道は次第に細くなり、森が両側から迫ってきます。
ここが、SAKHRANIのウイスキーが仕上げられ、熟成を重ねる場所です。
東京ではありません。
北海道でもありません。
日本の名だたる蒸溜所が集まる本州の山地でもありません。
沖縄本島の北部に広がる、豊かな亜熱帯の森。
2021年、その類い稀な生物多様性と、生態系の価値が世界的に認められ、沖縄島北部は奄美大島、徳之島、西表島とともにユネスコ世界自然遺産に登録されました。
やんばるは、日本の他のどの土地とも異なる環境の中で、ウイスキーに影響を与えます。
その理由を知るには、まず、この沖縄北部がどのような場所なのかを知る必要があります。
## やんばる、沖縄の守られた森とは
やんばる——漢字では「山原」と書き、「山の原野」を意味する——は、沖縄本島北部一帯を指す地域名です。
この呼び名は、蒸溜所よりも、現代の観光産業よりも、そしてこの土地に暮らす多くの人々よりも、はるか昔から存在してきました。
ここには、大宜味村、国頭村、東村があります。
そして、この森には、ここでしか出会えない生命が息づいています。
世界でやんばるにしか生息しないヤンバルクイナ。
同じく沖縄固有のノグチゲラ。
尾根には森が広がり、河口にはマングローブが生い茂る。
その間を、亜熱帯の常緑広葉樹林が埋めています。
太平洋から湿った空気が流れ込み、石灰岩層を通った水が山から流れ出す。
夏には強い暑さと高い湿度に包まれ、冬になっても森は青々としています。
ここには、はっきりとした「休眠の季節」がありません。
やんばるで時間を過ごすものは、すべてこの環境の影響を受け続けています。
ウイスキーも、その例外ではありません。
## やんばるの保護がウイスキーにとって持つ意味
2021年7月、ユネスコは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を世界自然遺産に登録しました。
その背景には、世界的にも重要な生物多様性と、希少な固有種を支える貴重な生態系があります。
やんばるが守られているということは、森が守られているということ。
水が守られているということ。
そして、この土地を取り巻く環境そのものが、未来へと受け継がれていくということです。
SAKHRANIにとって、それは重要な意味を持ちます。
樽が置かれる環境は、ウイスキーの熟成に影響を与えるからです。
その空気、その温度、その湿度。
目には見えないものも、時間をかけてウイスキーに影響を与えていきます。
SAKHRANIは、沖縄北部のこの守られた森の近くで熟成を重ねています。
場所がウイスキーに、その土地ならではの個性を刻んでいくのです。
## 沖縄の亜熱帯気候がウイスキーの熟成をどう変えるのか
ウイスキーは、樽の中で静止しているわけではありません。
温度の変化に応じて液体が膨張と収縮を繰り返し、樽の木とウイスキーとの間でゆっくりとした相互作用が続いています。
気候は、その相互作用に影響を与えます。
そして、その相互作用がウイスキーの個性を形づくります。
SAKHRANIのウイスキーは、スコットランドで蒸留・熟成されたブレンデッド・スコッチをベースに始まります。
そこから沖縄へと旅をし、やんばるの亜熱帯気候の中で、日本の木材による仕上げと熟成を重ねます。
スコットランドと沖縄。
二つの土地は、まったく異なる環境を持っています。
沖縄北部の暑さと湿度は、樽と液体の相互作用に異なるリズムを与えます。
木材との接触が生み出す香りと風味も、冷涼な気候とは異なる表情を見せます。
ミズナラには、白檀や香木を思わせるニュアンス。
サクラには、花のような華やかさ。
クリには、香ばしく温かみのある奥行き。
結果は、単なる「速い熟成」ではありません。
異なる環境の中で、異なる表情を持つウイスキーへと変化していくのです。
沖縄で熟成を重ねたウイスキーには、言葉だけでは説明しにくい質感があります。
やわらかな口当たり。
木材との相互作用から生まれる豊かな香り。
そして、やんばるの温かな空気と緑の森を思わせる、繊細な印象。
ボトルの中に、やんばるの時間があります。
## 大宜味村の山の水
やんばるで熟成を重ねるSAKHRANIのウイスキーは、沖縄北部・大宜味村の水とも出会います。
大宜味村は、やんばるの中に位置する沖縄北部の村です。
その豊かな自然環境と、長寿の里としても知られてきました。
その理由は一つではありません。
食。
共同体。
環境。
そして、水。
私たちの水は、山から始まります。
亜熱帯の森と石灰岩層を通って自然にろ過された水は、非常に軟らかく、ウイスキーとの相性に優れています。
その水は、専用のパイプラインによって蒸溜所へ直接届けられます。
市町村の水道水を経由することなく、他の水と混ざることもありません。
これは、ウイスキーにとって重要な意味を持ちます。
瓶詰めの度数まで加水する工程は、製造における繊細な工程の一つです。
水は、香りや口当たりの印象に影響を与えます。
適した水は、樽が時間をかけて育んできた香りと質感を引き立てます。
沖縄では、良質な水が長く泡盛づくりを支えてきました。
今、その水がSAKHRANIのウイスキーにも使われています。
やんばるでは、沖縄の水と沖縄の気候が共に働きます。
一つがウイスキーの仕上がりを支え、もう一つがその熟成を形づくる。
その組み合わせこそが、SAKHRANIの個性の一部なのです。
## なぜSAKHRANIは、やんばるで熟成するのか
ウイスキーは日本各地でつくられています。
北海道。
長野。
秩父。
九州。
そして、沖縄。
それぞれの土地が、日本のウイスキーに異なる個性を与えています。
北の冷涼な気候。
内陸の大きな寒暖差。
地域ごとに異なる水。
それぞれが、熟成という時間に異なる表情を与えます。
やんばるもまた、独自の環境を持っています。
亜熱帯の暑さ。
太平洋からの湿った空気。
石灰岩層を通った山の水。
豊かな森。
そして、年間を通して生命が息づく気候。
気候は、ウイスキーにその土地の「署名」を残します。
やんばるで、その署名ははっきりと刻まれていきます。
## SAKHRANIトリロジーの背景
SAKHRANIは、単に「希少な木」を追い求めるために生まれたブランドではありません。
私たちは、すでに沖縄で暮らしていました。
そしてある時、やんばるの気候と環境がウイスキーに与える影響を、少しずつ理解するようになりました。
ミズナラ。
サクラ。
クリ。
それぞれの木材には、それぞれの個性があります。
しかし、トリロジーを形づくるのは、木材だけではありません。
沖縄北部の湿度。
水。
熱。
亜熱帯の空気。
そして時間。
それらが木材とウイスキーに作用し合うことで、他の場所では同じようには生まれない個性が形づくられていきます。
異なる気候は、異なる熟成を生みます。
異なる水は、仕上がりの印象を変えます。
異なる森は、熟成する環境そのものを変えます。
やんばるでは、環境そのものがウイスキーの一部になります。
ここでウイスキーは、気候、森、水、そして時間の影響を受けながら、その個性を深めていきます。
## SAKHRANIトリロジー
SAKHRANIトリロジー——ミズナラ、クリ、サクラの3つのエディション——は、沖縄北部・やんばるで仕上げと熟成を重ねています。
**MIZUNARA**
温かなスパイス · お香 · 白檀
**KURI**
桃 · キャラメル · ナツメグ
**SAKURA**
桜の花 · ザクロ · やさしい果実味
2025年のUSA Spirits Ratingsでは、KURIが**Blended Scotch of the Year**およびGold Medalを受賞し、MIZUNARAもGold Medalを受賞しました。SAKURAはSilver Medalを受賞しています。
すべて47% ABV。
ノンチルフィルター。
無着色。
そして、その一滴には、スコットランドから沖縄・やんばるへと続く旅があります。
木材。
水。
気候。
そして、時間。
それらすべてが重なって、SAKHRANIの味わいを形づくっています。
**やんばるは、単なる熟成場所ではありません。**
**SAKHRANIのウイスキーが、そこで時間を過ごすことで初めて生まれる個性の一部なのです。**